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 社会福祉法人の決算処理と電子化を考えてみた

 決算処理開始

 

福祉施設で事務の仕事をしている私の、一年で一番仕事が忙しい時期が5月前後です。

私が働いている「社会福祉法人」の決算の時期は法律で決まっており、日本のすべての社会福祉法人は3月末です。

各法人は所轄庁へ決算のデータを報告します。そして、決算データは国が管理しており、「社会福祉法人の財務諸表電子開示システム」に公開されています。

 

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社会福祉法人の現況報告書等情報検索

上記サイトで全国の社会福祉法人の財務状況を検索できます。

 

決算の流れてとしては、4月から5月に掛けて、決算処理及び決算報告の理事会・評議員会対応を行います。

 

また、人事労務の動きも年度末~年度初めが多くなりますので、各種手続きや入退職対応で猫の手も借りたいほど仕事が舞い込んできます。

 

更に今年は、3年に一度の介護報酬改正の年です。

3年に一回介護報酬が改定され、さまざまな事務処理が発生する時期でもあります。

 

当然、通常の業務時間では仕事が終わりきれない為、残業が発生しますが、今年はどうやら今までのこの時期に比べると、そこまで忙しくないようです。

 

それはなぜか?

私の施設(法人)では、4人の事務員+1名で会計から総務・人事までこなしています。

職員数200人程度ですので、おそらくほかの施設よりも少ない人数だと思います。

少ない人数でも十分業務をこなせているのは、やはりIT・ICT化の取組結果だと言えます。

社会保険雇用保険の諸手続きは専用のソフトを使って電子申請で行いますので、煩雑な時期でも待ち時間や移動時間が無く、スピーディに処理が行えますし、申請書類作成も紙で手書きのころに比べたら作成時間が短縮されています。

 

例えば、新人職員の社会保険加入処理を紙に手書きの場合、履歴書などの書類を見ながら氏名~住所などを記入し、代表者印を捺印。出来上がった書類を年金事務所(旧社会保険事務所)まで持参若しくは郵送します。必要に応じて提出書類の控えなども保管します。

 

ソフトの場合は人事給与ソフトからの連携で、即書類が出来ます。もちろん人事基礎データを入力しておくことが前提です。手書きでも電子申請でも人事基礎データの入力は必要なので、書類作成開始時点での条件は一緒です。

少しのソフト操作で出来上がった申請書類を、電子申請で送信。持参したり郵送することなく、椅子に座ったまま数分で申請まで完了します。

控えもデータで残っているので、紙では出力せず、用紙管理業務がありません。

 

処理完了後に健康保険証が郵送で届きます。

 

電子申請を初めて1年ほど経過しますが、今から紙での申請には戻れないと実感しています。

業務工程が増え、紙での管理に場所と時間を使い、1人が出来る処理量が落ちるのが目に見えているからです。

あきらかに生産性が落ちるのです。

 

こういった電子化などに取り組むことによって少ない事務員の人数でも、質を落とさず業務処理が出来ています。

 

会計システムの進化と活用

また、会計処理に置いては、エクセルやワードで作成していた会計諸表を会計システムからの連動で作成できるようになり、業務工程が大きく減りました。

 

10年前の処理と比較する方がおかしいのですが、当時はワードなどで支出伺いを作成し、決裁後の内容を会計ソフトに転記入力していました。

転記することによってミスも起こります。これはゼロには出来ない人的ロスでした。人が入力する以上間違いが無くなることは無いと思います。

現在は会計ソフトで支出伺い兼振替伝票を作成します。会計責任者(私が務めています)の承認後、ソフト上で決済処理を掛けると、伺が伝票に起票されるので、金額・科目・日付に誤りが無ければ月次の試算表が完成します。

 

月次試算表作成に掛ける時間が、4~5日掛かっていましたが、今は半日程度で完了します。

 

決算データを所轄庁に提出する必要があるのですが、これも会計ソフトが連携しており、簡単にデータ作成しWEBで送信できます。

 

10年後は会計の仕事は無くなると言いますが、実際の作業工程は確実に少なくなっています。今後AIが進化すると、日常の会計処理もコンピューターが瞬時に行うことがあるかもしれません。そうなったら、人がやる事って無くなりますよね。

良いか悪いかは別の問題ですが、生産性が高くなることは間違い無いと思います。

 

 

最後までお読みいただいてありがとうございました。

 

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福祉施設の総務業務の電子化に取り組んでいます 2017~

総務業務の電子化

 

福祉施設の総務部門の業務内容

私の仕事は、福祉施設の総務部門です。

福祉施設での総務部門の業務は一般の会社とあまり変わりなく、「労務管理(勤怠・給与・社会保険など)」「経理(税務・会計・請求・支払い等)」「設備管理(営繕・備品購入整理・補修・保守)」「規定規則の管理(定款・就業規則・給与規定・経理規定)」など多岐にわたっています。

大きな組織だとさらに部門ごとに細分化されていると思いますが、多くの福祉施設では総務部門が包括的に業務を行っていると思います。

また、施設規模にもよりますが、4~5名の職員で業務を行っている施設が多いのではないでしょうか?私が知っている福祉施設はどこも同じような人員体制のようです。

その他には、ご利用者の送迎や、行事での利用者との関わりの部分が、一般の会社と福祉施設の総務部門の違いだと思います。

 

私の施設は職員数が200人前後で福祉施設の中では比較的大きい規模の施設です。

入居施設が2ヶ所と通いの施設や、短期での宿泊施設、相談窓口など高齢者の総合福祉施設で、利用者総数が450名程いらっしゃいます。

そんな規模の施設ですが、総務部門は5名の配置で業務を行っており、施設規模を他施設と比較すると少ない人数で効率的に業務を行うことが出来ています。

その大きな理由としては、スケールメリットとIT/ICTによる生産性の向上にあります。

例えば、職員数が100人前後の施設であっても、総務部門の人数は3~4名必要です。

しかし職員数が倍になっても総務部門の人員は倍にはならず、会社規模が大きくなればなるほどスケールメリットが大きくなってくるのが総務部門だと思いますし、数字を扱うことが多い部門なので、さまざまなソフトを利用して効率よく業務を行うことにより、同じ業務量でも短い時間と手間で完了することが出来るのです。

 

 

社会保険雇用保険の手続き

4月は労務担当者にとって憂鬱な時期です。

4月入職と3月末退職の職員達の手続きが集中する時期で、社会保険雇用保険の窓口が大変混雑して普段の何倍も時間がかかります。

ハローワークで数時間待ちが当たり前で、ただひたすら待つことしかできないのですが、以前は特段疑問に思っていませんでした。今は社会保険雇用保険のほぼすべての手続きを電子申請で行っていますので、手書きで書類を作成することやハローワークで長時間待つことは生産性が悪すぎて、とても以前のやり方に戻ることはできません。

いずれ人件費換算してみたいと思っています。

 

インターネットバンキング

社会保険雇用保険の手続きでは料金の支払いは都度発生しないのですが、所得税や住民税の毎月の手続きは現金の支払いがあります。

インターネットバンキングを利用することで銀行に行く機会が激減しました。

あわせて納付書などの書類を手書きすることが無くなったので、あっという間に処理が終わります。

業務フローを比較すると、10工程あったのが4工程程度に減ったようなイメージです。この作業も人件費換算できたら、効果が見える化できるのですが。。

 

請求処理

私が働いている職場は老人介護施設です。

老人介護事業の収入源は介護保険制度です。完全実費タイプの「介護付き有料老人ホーム」等以外は、介護保険を利用しながらの介護サービスを提供する事業所となります。

なので、介護保険の請求業務と利用者への利用料請求業務を行うのですが、以前は「エクセルと言う名の紙作業」が多く、とてもIT/ICTと呼べる代物ではありませんでした。

請求書は介護請求ソフトからプリントアウトします。

先月未納者にはエクセルで再請求の書類作成。複数月に渡る未納者は、別の様式で請求書作成。請求管理もエクセルで行い、未回収金管理もエクセルで手作業。

保険者への請求データの一覧管理もエクセルで、送信ソフトへは手打ちかつエクセル管理表との整合性の確認処理。。。私が現職に着いた時、作業工程の多さと重複する作業工程に愕然としました。

生産性が低い業務工程は嫌でしたし、ソフトでできる作業をエクセルで非効率に行う事が嫌で、ソフトを最大限活用することと紙作業をなくすこと、併せてインターネットバンキングの活用、集金代行サービスと契約し一部アウトソーシングすることで、人員を一人削減してなお業務量に余裕がある状態となりました。

 

※「エクセルと言う名の紙作業」とは、エクセルを使用して、手書きでも良い文章や表を作る作業。プリントアウトした用紙の見た目は良いが、計算式無しの為、手書きに比べて効率が良いわけではないので厄介。エクセルなのに電卓を併用し、達成感を滲ませている時もあり何人たりともツッコミ不可。年配者に多い。

 

話は脱線しましたが、介護保険の請求作業も、おそらく医療保険の請求作業も、中心となる処理は請求ソフトに入力し、整合性を確認して保険者へ請求情報をインターネットで送信、となるはずです。

※平成30年よりデータ以外でも請求が不可になったと聞いています。

請求作業がそれぞれの現場実績から自動連動されたら、事務作業の工程が無くなるでしょうし、同時に利月額用料の請求へ連動されるなら人間が行う作業は減っていくと思いますが、なかなか移行できていないのが現状です。

(規模が大きい医療法人などはIT/ICTへの連動が進んでいると思いますが、個人経営の病院や施設ではまだまだ進んでいないようです)

 

まとめ

労務処理を電子化しようと思ったきっかけは何だったんだろうと思い返してみても、特に印象にあることは無いような気がします。

逆に、社会保険雇用保険の電子申請で日本政府が整備している「e-Gov」の利用率は、私が住んでいる県でたったの2%くらいと聞いた時には愕然としました。

なんと知名度が低く、国民に使われていない制度なのかと!

 

それでも、他に先駆けて先進的に取り組もうと思い、手探りでWEB申請を行っていたところに、PSD社会保険というソフトを利用すると楽に電子申請が出来ることがわかり、導入実践。

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PSD社会保険導入後の半年後位にAPI申請と言う画期的な仕組みが整備され、PSD社会保険ソフトを使うことにより一瞬で申請ができるようになったのです。

今では各種申請も職場内で、簡単に、移動することなく完結しますので、「やらないと損」レベルの処理方法です。

導入コストは掛かりますし、保守料も年間3~4万円必要ですが、業務効率を考えると、たいへんお得なソフトだと思っています。

 

 

最後までお読みいただいてありがとうございます。

 

 

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